活動レポート
REPORT

自分の足で 〜石巻仮設住宅自治連合会の『 新しい公共事業』 への挑戦〜

2012.03.03

石巻市仮設住宅の自治会役員が月1回会合を行う『石巻仮設住宅自治連合会』
個性溢れる自治会役員の方々が集い、様々な意見が交わされ、毎回混沌とした様子になります。
そんな中、少し無謀とも思える挑戦に自治会長さん達が挑むことになりました。
会話に会話を重ね、人の絆が生まれていく様子を今回その挑戦されている姿から私は拝見させていただきました。
挑戦への結果は、まだわかりませんが、後に大切な記録になると思い、石巻の仮設自治会役員のみなさんの「目指したもの」と2月の最終11日間の「行動の記録」をご紹介させて頂きます。
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2月17日、第3回仮設住宅自治連合会にて、一つの提案がされました。
「『新しい公共支援事業』へ連合会として応募してはどうか?連合会の事務局でそれを各仮設住宅の各自治会運営費の一部として振り分けていけばどうか?ただし、締切は約10日後の今月末までです」
この提案の背景には、現在仮設住宅自治会には主体的に活動できるほどの運営費が支給されず、また節約を重ねていらっしゃり、引越しが前提の仮住まいである被災者の方々から、会費を徴収する事も難しい状況があり、それを財政的にも時間的にも厳しい状況の石巻市に要請するのではなく、『自分達で出来る事は自分達でやろう』というポリシーがありました。
※『新しい公共支援事業』とは
内閣府の行っている助成事業で、特徴としては、公の課題に対して、行政とNPO等が連携して協議体を組み、課題解決を図る事業に対して助成を行う事業です。条件として、1年以上活動実績のある非営利の団体をが含まれる協議体を組んで行政の推薦書をもらう行うことが条件でした。
ちなみに連合会は12月にできたばかりなので、必ずどこか1年以上の実績がある非営利組織に加盟していただく事がこの取り組みに参画するには、必要でした。
【新しい公共支援事業】
http://www.pref.miyagi.jp/kyosha/newpublic/top_newpublic.htm
いきなりの提案に、会場全体に戸惑いがありました。
「時間がなさ過ぎて、無理じゃないか?」「少し話が急すぎないか?」「今自治会が立ち上がったばかりで、全然余裕のない状況で、まだ早すぎるのではないか?」
そんなか、
「平日は仕事があるので無理ですが、週末だけならお手伝いできます。ダメもとでやってみてもいいと思います。」
といって手を挙げてくださったのが、開成第一・第二の自治会長、中野さんでした。
その中野さんの一言がきっかけで、「やるだけやってみよう」という事になり、ここから11日間に及ぶ自治会長さん達の挑戦の日々がはじまりました。
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18日の朝、会長の後藤さんと事務局長の増田さんは、どう進めていくか早速話し合いがなされました。
「新しい公共支援事業」の条件として1年以上地元で活動している非営利組織と協議体を組む必要があります。
そのパートナーを社協さんになっていただくことで、改めて仮設住宅の自治会と社協が連携し、協議体を組んで仮設住宅の課題に取り組もう、と意向を確認しました。
早速社協さんに連絡をとり、相談に伺いました。
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土曜日でお休みにも関わらず、たまたま事務所に来られていた課長補佐の阿部さんが対応していただき、話を親身になって聞いていただきました。そして、週明けに企画を文章化し、正式に協力を依頼することになりました。
19日は中野さん、後藤さん、増田さんで申請書の内容について案を出し合いながら作っていきました。
助成金申請に詳しい石巻災害復興支援協議会の中川さんがそれをサポートしてくださいました。
申請する内容は以下の骨子になりました。
・毎月『推進会議』を開催し、仮設自治会役員の代表・社協・NPO等・市の担当者が集い仮設住宅の課題について建設的な話し合いがもたれる場を作る。
・自治会及び世話人会の自主的な活動をサポート。
 (運営費の配分、自治組織運営・催し実施などの相互サポート等)
20日社協さんに朝一書類を提出し、午後から後藤さんは連合会の事務所のある仮設大瓜団地集会所の事務所で申請書のたたき台の作成を進めました。
22日そのたたき台を城内団地の会長、滝沢さんにメールで送り、それに対して追記・修正が加えられました。
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滝沢さんにメールを送っている後藤会長
23日は渡波第一団地の副会長の亀山さんと事務局長の増田さんが石巻専修大学で協議会の中川さんと共に内容について朝から話し合い、修正を加えていきました。
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その後、渡波第一、渡波第二、大橋、水押球場の会長さん方にその修正した原稿を増田さんと後藤さんが持って行き、意見を集めて行きました。
夜19時からそれらを仮設万石浦団地の集会所で整理をしていきました。
22時頃から開成の中野さん、協議会の中川さんも加わり、中身を修正に修正を重ねていきました。
その時の打ち合わせはなんと夜中の1時まで繰り広げられました。
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24日、石巻市に推薦書を出して頂けるようにお願いに伺いました。その時は、前の日に意見を聞きに行った会長さん方が全員一緒に同行し、総勢6名で仮設住宅運営管理室、市民活動共同推進課の方々に企画の説明を行いました。色々とご意見をいただき、修正を加えて改めて週明けの27日に書類を提出し推薦について検討いただくことになりました。
その後、その足で社協さんに全員で伺い改めて企画について説明に行きました。
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27日、週末の間に修正した書類を市に改めて提出しました。そして、再度社協さんを訪ね、同じ書類を提出し、改めて連携のお願いをしました。また、お話を伺えていなかった仮設南境第七団地山上会長にもお話を伺いに行きました。
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その日の夜、石巻専修大学で協議会の中川さんがボランティア活動をされている方々対象に助成金申請の書き方講座をいいタイミングで実施されました。その中に開成の中野さんが参加され、熱心に学んでいらっしゃいました。
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講座を聞いたその場で、中野さんは書類のチェックを始めていきました。
28日、後藤さんは、旧石巻市の町内会連合の及川会長と市役所でお会いし、連携の相談をしました。小規模の仮設住宅では、独自の自治会ではなく、既存の町内会に編入する場合が多いので、既存の町内会との連携や調整が今後不可欠となるのです。
及川会長と意見交換を行った後、しらさぎ台団地の石川会長、押切沼公園の齊藤会長、蛇田中央公園団地の鈴木会長、にっこりサンパーク団地の佐藤会長に書類を届け意見を伺いました。
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これで現在加盟されている14団地全ての会長さんに今回のプロジェクトについて考えていただき、ご意見を伺う事がようやくできました。
夜21時頃から、開成第一団地集会所で中野さんと落合い、昨日中野さんが修正を加えた原稿を最終確認し、最終のチェックを夜中の24時頃まで行い、ついに書類が完成しました。
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提出締切日の29日の朝、石巻市市民活動共同推進課から推薦書の決済がおりた旨の連絡があり、受け取りに行きました。その足で社協さんに行き、ここでようやく協議体としての連携について正式に了解いただき、協議体の加盟団体に必要な書類一式を受け取りました。
後藤さんはそれらを持って、仙台の県庁に向かいました。
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担当課に行き、ようやく書類を提出できました。
17時が締切だったのですが、1時間前の16時に提出です。
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ホント、ギリギリだったです。
嵐のような11日間が過ぎ、できることはやりきりました。
結果がどうであれ、悔いはありません。
帰りはお寿司を食べて帰りました。
心から美味しいと思える最高のお寿司でした。
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後藤さんは申請書類の中で次のような文章で企画の説明を締めくくりました。
『(石巻は、)日本中の皆様からのたくさんのご支援いただいており、皆様の支援に応えるためにも、復旧復興にむけて自分の足で前進していく。』
この挑戦が生んだ会話と絆はかけがえのないものになったのではと思います。
応募の結果は、またご報告させていただきます。

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