活動レポート
REPORT

《全国の利用者が返してくれた110台が被災地へ――災害時返却カーリースがつなぐ支援》

2026.09.19

この夏、鹿児島豪雨、栃木・群馬豪雨、熊本地震、千葉豪雨、石川・富山豪雨、福井豪雨と、全国各地で災害が相次ぎました。

日本カーシェアリング協会では、災害によって車を失った方や、被災地で支援活動を行う団体などに、車を無償で貸し出す支援を行っています。


しかし、これだけ多くの災害が重なると、被災地へ届けられる車が足りません。


そこで今回、全国で「災害時返却カーリース」を利用している皆さまに、車の返却をお願いしました。


災害時返却カーリースは、普段は日々の暮らしや企業活動などに車を使っていただき、大きな災害が起きた際には返却いただいた車を被災地へ届ける仕組みです。全国各地で車を活用しながら分散して備え、必要なときに必要な場所へ送り出します。


利用しているのは個人だけではありません。企業、社会福祉協議会、自治体など、さまざまな立場の皆さまに参画いただいており、一般プラン、社協プラン、自治体プランの3種類を設けています。

災害時返却カーリースについて詳しくはコチラをご参照ください。


全国から110台の車が被災地へ


今回の返却は、災害の発生状況に応じて段階的に広がっていきました。


まず熊本地震では、現地で特に必要とされていた軽トラックを中心に返却をお願いしました。その後、千葉豪雨への対応が始まると、静岡支部の管轄地域で利用されていた車両にも対象を広げました。


さらに、石川・富山豪雨、福井豪雨と災害対応が続き、支援に活用できる車が深刻に不足したことから、最終的には全国に配備していた災害時返却カーリース車両について、返却をお願いすることになりました。


社協プランと自治体プランには、「県内で災害が起きた場合に限り返却する」という県内限定オプションがあります。これは、その地域で災害が発生したときに必要な車を確保しておくための仕組みです。


今回は、こうした県内限定オプションの車両を除いた約110台が、各地の被災地へ向かうことになりました。


全国に配備していた車を、これほど大きな規模で動かすのは今回が初めてです。


返却された車は、全国の支部や災害支援拠点へ順次戻ってきています。一台ずつ点検・整備を行い、保険や書類、必要な備品などを確認したうえで、それぞれの被災地へ送り出します。


一般プランからは83台、社協プランからは17台、自治体プランからは10台が返却されました。


被災地での用途は、被災された方の生活の足だけではありません。


社協プランの車両は、各地の災害ボランティアセンターなどで、被災された方のご自宅への訪問、ボランティアの送迎、資機材の運搬、被害状況の確認などに活用されています。

佐賀県社協福祉協議会様から返却された車
伊豆の国社協様から返却された車が、千葉市災害ボランティアセンターで活用されています。


自治体プランの車両は、被災自治体の公用車として、住民対応や避難所への移動、被害状況の確認、関係機関との連絡調整など、災害対応のさまざまな場面を支えています。

佐賀県みやき町から返却された車。現在宇城市の公用車として自治体の支援業務に活用されています。


一般プランの車両も、被災された方の通勤、通院、買い物、子どもの送迎など、生活を立て直すために欠かせない移動手段として届けられています。


企業による参画も広がっています。秋田県では、秋田信用金庫様、秋田銀行様にご利用いただいていた計10台を返却いただきました。

返却された車たち


今回の取り組みは、利用者の皆さまお一人おひとりのご理解とご協力がなければ、実現できませんでした。


普段の生活や仕事、地域活動で使用していた車を、「被災地のために」と返却してくださったことに、心より感謝申し上げます。


返却された車には、被災地を思う温かいメッセージが添えられていました。


「4年ほどお世話になり、ほぼ愛車でした!支援のお役に立てますように」


「少しでもみなさんの移動のお力になれれば!!」


「お車、私も助かりました。復興に向けて一緒に前進しましょう」


長く使い、愛車のように大切にしていた車を返却してくださった方。自分自身も車に助けられた経験から、今度は被災地の力になりたいと託してくださった方。


一台一台の車に、それぞれの思いが込められています。


皆さまの思いとともに送り出された車が、いま車を必要としている被災地の方々の暮らしや、現地で活動する皆さまを支える力になっています。


普段の利用が、次の災害への備えになる


災害が起きると、支援のために多くの車が必要となります。

そのためには大量に車をストックする必要があります。しかし、車を駐車する場所も必要ですし、費用も掛かります。そして、活用されない車は日々劣化していきます。


平時には全国各地で低料金で車を活用しながら備え、災害時には被災地へ送り出す仕組みはこのすべての課題を解決します。


今回、約110台の車が実際に動いたことは、災害時の「車が足りない」という課題に対する、一つの答えになると私たちは考えています。


災害時返却カーリースは、単に車を貸し出す仕組みではありません。


平時には地域の暮らしや企業活動を支え、災害時には被災された方々の移動を支える。車を利用すること自体が、全国の災害への備えにつながる仕組みです。


現在は災害対応を優先しているため、新たな車両の貸し出しを一時的に休止していますが、受付再開後の利用に向けた事前相談は受け付けています。


個人の生活の足としてはもちろん、企業の業務用車両、社会福祉協議会の地域福祉活動、自治体の公用車など、幅広い用途でご相談いただけます。


利用できる地域や車両、料金、災害時の返却条件などについて、担当者が利用状況に合わせてご案内します。まだ利用を決めていない段階でのご相談でも構いません。ぜひ気軽にお問い合わせください。


一台の車が、平時には地域を支え、災害時には被災地を支える力になります。


今回は100台ですが、1,000台でこの仕組みが運用されていれば被災地に1,000台の車を届けられます。


この仕組みに参加してくださる仲間を、全国に増やしていきたいと考えています。


普段は自由に使って、有事は被災地のために一時車を送り出す。


災害多発時代に備える具体的な仕組みを一緒につくっていきましょう。

災害時返却カーリースの詳細ページはこちら:https://www.japan-csa.org/blog/archives/2738


【災害時返却カーリースに関するお問い合わせ・事前相談】

・(災害対応中のためこちら推奨)お問い合わせフォーム:https://www.japan-csa.org/blog/contact

・電話番号:0225-22-1453(平日9:00-18:00)

・担当:カーリース担当  

お問い合わせの際は、「災害時返却カーリースについて相談したい」とお伝えください。


■今年の災害のために返却されたことが各地の報道機関で取り上げられました。

佐賀県の公用車「災害時返却カーリース」で熊本へ<令和8年熊本地震 支援の輪>
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/1770550

送迎車、豪雨被災の千葉へ 五城目の介護施設、災害時返却契約で活用
https://www.sakigake.jp/news/article/20260911AK0013/#google_vignette

「災害時返却カーリース」事業、熊本支援のスムーズ化へ始動 公用車として導入していた能登町が返却
https://www.chunichi.co.jp/article/1290002


■災害時返却カーリースの紹介動画(上から一般プラン・自治体プラン・社協プラン)