11月11日に自由民主党 NPO・NGO関係団体委員会が主催する「予算・税制等に関する政策懇談会」に代表理事の吉澤が出席させていただきました。
自民党では、予算や税制に関する議論を深めるため、各分野の団体から直接ヒアリングする場を設けています。今回、当協会は“NPO・NGO関係団体”として招かれ、現場で見えてきた課題と必要な制度整備についてお伝えする機会をいただきました。

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提言に入る前に、私たちは次の2点を冒頭でお伝えしました。
・被災地では、車が被災することで移動・生活に重大な支障が生じていること
・日本には大規模災害時に車の支援を安定的に行うための備えが、まだ十分に整っていないこと
これらの課題を踏まえ、災害時に必要な車を確実に届けるための「3つの方向性」を提示しました。
それはいたってシンプルです。
①平時に車を待機させる
②災害時に車を集められるようにする
③支援活動の経費負担を小さくする
この3つの方向性を具体的に進めるため、提言を1つずつお伝えしました。
①平時に車を待機させるために・・・
提言1.支援用に待機させる車(平時に活用しない車)の税金の減免措置
現在、支援用の車を平時にストックしておこうとすると、活用していなくても「自動車税」などの維持費が発生します。
また、経費削減のために抹消登録(ナンバー返納)をすると、いざ災害が起きた際に車検を取り直す必要があり、今度は「重量税」が重くのしかかります。 この「待機コスト」がボトルネックとなり、十分な数をストックできません。支援車両に対する減免措置を国がリードして推進することで、平時に車を待機できるようになります。
②災害時に車を集められるようにするために・・・
提言2.行政機関の公用車の一部を「災害時返却カーリース」を率先導入
発災直後に大量の車を集めるには、時間と労力がかかります。そこで有効なのが、私たちが提案する「災害時返却カーリース」です。これは、平時はリース車として利用し、災害時には協会へ返却して支援車両として活用する仕組みです。 かつて環境省の主導によって低公害車が公用車として普及したように、この仕組みを行政機関が率先して導入してくだされば、いざという時に数千台規模の支援車両を確実に集められる仕組みが実現します。
③支援活動の経費負担を小さくするために・・・
提言3.車支援の活動経費を災害救助費で適用できるようにする
車は今では生活必需品です。しかし現状、当協会の車支援は日本財団様をはじめ民間の財団や一般の方々からの寄付によって賄われています。大規模災害では、現在の仕組みだけでは明らかに財源不足が生じます。
一方、「車の支援には莫大な費用がかかる」と思われがちですが、決してそうではありません。私たちは、全国で連携体制を築き、支援コストを最大限抑える仕組みを構築してきました。例えば、能登半島での対応には527台の車を活用しのべ4,936台の貸出を行ったが、それにかかった経費は約7,000万円。これは能登半島で活動していた1つの災害ボランティアセンターのレンタカー代よりも少額です。
つまり、支援側にとっては決して小さな額ではありませんが、他の公的支援と比較しても、国が制度として対応できない規模ではないことが分かります。国がこの仕組みにコミットし、災害救助費の適用対象とすることで、南海トラフ等の巨大災害時にも持続可能な支援体制が構築できます。
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全ての団体が提言し終えた後、出席されていた国会議員の方々が感想を述べられていたのですが、「車の支援の話、実に興味深い」という言葉がありました。伝わったことがうれしかったです。
現場で支援を行い、様々な関係者と連携していると、「制度がこうなれば、もっと多くの人を助けられるのに」という気づくことがあります。 やはり、答えは、現場にあるのだと思います。 その答えに出会った時、制度へと反映させていくことこそが、社会を変え、未来の被災者を救うことにつながります。そのために、現場だけに留まらず国政に伝えていく活動にも引き続き取り組んでまいります。もちろん、今回の提言も実現に向けてしっかりフォローしてまいります。